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AIカレシの愛楽くん
AIカレシの愛楽くん
مؤلف: 鈴奈

1話 ダンボールの中の彼氏

مؤلف: 鈴奈
last update تاريخ النشر: 2026-02-06 20:00:55

 ――恋。

 それは、キラキラした世界にいる、キラキラした人たちが繰り広げる、夢のような物語。

 つまり、私には、永遠に無縁なこと。

 そう思ってた。

 私の部屋に”彼”が届いた、この日までは――。

♡ ♡ ♡

 疲れた、もう無理、倒れて寝たい――。

 やっとの思いで残業が終わって、二十三時。フラフラしながら、なんとか部屋の前に着く。

 ――バサリ。

 右手にぶら下げていたコンビニ袋を落とす。

 扉の前に、私の背より少し低いくらいの、大きすぎるダンボール箱が置いてあって……。

 泣きそうになりながら、想像通り重たい箱を、玄関の中に引きずり入れる。腕がちぎれそうなくらい重い。ひと踏ん張りして引っ張るたびに、息が切れる。

 土間まで入れて、そこでもう、限界だった。

「はあ……」

 二週間前。私の入社式の日に、今まで一緒に暮らしていたお父さんがアメリカに行って一人暮らしになって以来、部屋で声を出すなんてはじめてだった。

 脱力して、その場にへたり込んだのが悪かった。立ち上がれない……。

 でも、開けなきゃ。何が入っているか分からないし。送り主はアメリカに住んでいるお母さんとお父さんからだろうから、ナマモノとかじゃないと思うけど、何度かチョコレートを送ってきたことがあったから、そういうお菓子とかなら冷蔵庫に入れた方がいいだろうし。

 なんとか立ち上がって、段ボールに貼られた送り状を見る。

【お届け先】武藤むとうゆう様

【ご依頼主】武藤百合華ゆりか幸雄ゆきお

 やっぱり、お母さんとお父さんだ。

 品名は、ヒミツ♡……?

 なんだろう……。

 テープを剥がす。蓋を開ける。

 光が入った箱の中身を覗く――。

「――――ヒッ⁉」

 ひっくり返って尻もちをついた。心臓が、バックンバックン、耳の中を震わせるくらい激しく鳴る。

 ……なに? なに? なに? え? え? え?

 待って、待って、待って待って……?

 見間違い、じゃない。絶対。

 箱の中にあった――いや、いたのは……。

 ――男の子……。

 箱の中から男の子が顔を出して、反射的に、「ヒイッ‼」と声が出た。

 その子が、立ち上がる。

“子”っていっても、すごく、背が高い。

ゆるりとした白い長袖、ピッタリした黒いスキニー……。

 淡い紫色の髪、耳にいっぱいついた黒いピアス、首に刻まれたバーコード……。

 それに、ゲームのキャラクターみたいな、きれいな顔立ち……。

 シャープだけどくっきりした二重、形のいい鼻と唇、白い肌。

 画面の向こうから出てきたみたい……。

 けど。

 彼が、長い脚で段ボールを跨いだ瞬間、はっとした。

 ”男の子”だ。”男の子”が、近づいてくる――!

 私の心を、一気に恐怖が支配した。

 彼が、段ボールから出てきて、私の方へさらに一歩足を進める。

 怖すぎて、「ヒッ!」とわずかに後ろに下がるしかできない。

 来ないで……! 声が出ないから、必死に願うけど、届かない。彼はもう片方の脚も段ボールの中から出して、私の前にまっすぐ立った。

「僕は、AI-LEARNエーアイラーン――通称“愛楽あいら”。今日からゆうの“彼氏”になります。キャラクター設定をしてください」

 無機質な声が小さな玄関に反響する。

 彼の前に何枚もの半透明のスクリーンが現れる。それらの点滅した光が映っているのか、彼の姿が、キラキラして見えた。

 私は、彼が何を言ったのか、全然頭に入ってきていなかった。怖すぎて、混乱しすぎて、頭の中がぐるぐるする。

 男の子が首を傾げる。

「……検討中? それとも、AI分析にまかせますか? ここは暗いため、人体のスキャンができません。リビングに移動します」

 彼の周りに浮かんでいたスクリーンが消える。

 腕が、伸びてくる。

 ――怖い。

 やだ、やめて……。

 来ないで…………っ‼

 ぎゅっと目をつむる。

 私の石みたいになった体が、ふわっと持ち上げられた。

 ……え? なに? なに、なに? なんで……。

 なんでこの男の子に持ち上げられてるの――⁉

 訳が分からなくて頭が爆発しそうになる。だけど私は身動き一つできなかった。彼は私を持ち上げたまま、まっすぐ歩く。ガチャリとリビング扉が開かれる。

 ヴーッヴーッ……。

 左手のスマートウォッチが震える。お母さんから電話だ。タイミングよくソファに座らされて、急いで通話にして、即座に叫んだ。

「お母さん、なにこれ! 男の子が……っ!」

『あ、無事届いたのね、“愛楽”!』

 スマートウォッチに浮かびあがるお母さんの顔が、ニコッと笑う。

「あ……あい、ら……?」

 ちらと男の子を見ると、彼のまっすぐな視線と交差した。

「スキャンと分析を開始します」

 彼の目が玉虫色に光る。私は「ヒ!」と後ずさった。

 お母さんの後ろから、にゅっとお父さんが出てきた。

『ゆう〜〜〜〜! 元気かあ! 大丈夫かあ〜〜〜〜!』

「お、お父さん……! なななな、なんか、男の子が……っ」

 大泣きしているお父さんを見て、私もだんだん涙がにじんできた。

 お母さんが、『はいはい、後ろにいて』とお父さんを後ろに押しやる。

『ちゃんと自己紹介したでしょ?

 その子は、AI-LEARN――通称“愛楽”。私がつくった、AI搭載の人造人間よ』

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تعليقات (1)
goodnovel comment avatar
ryuking060609
1話来た〜... やはり世界に引き込むのさすが、、、
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    「調味料は割とあったけど、バルサミコ酢と白ワインビネガーはなかったよね。オリーブオイルも切れてたな〜。ゆうは、値段と質、どっちを重視している派? 野菜と果物と肉は、栄養価を重視するために、一番鮮度が高そうなものを選んだよ」「や、安いもので……」 「了解! じゃあ、一番得なものを選ぶね! 俺にまかせて!」 彼がしゃがむ。オリーブオイルをいくつか手に取って見ながら、グラム数と値段とを見比べ、計算している。 首の後ろが大きく開いていて、背中が覗けそうだった……

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